インプラント − 歯、口腔機能を保存するために − |
不幸にも歯を失われた患者さんに対して、我々も積極的にインプラントお勧めする場合がございます。
どのような場合かと申しますと
1.機能と審美性の回復
入れ歯、ブリッジ (接着性ブリッジも含む) が何らかの理由で入れることが出来ず、口腔機能および及び審美性が著しく損なわれており、健康な自分の歯を有していた時と同様もしくはそれ以上に機能と審美性を回復させたい場合。ここでいう口腔機能とは以下のことを指します。
@ 食べる(噛む、すりつぶす、飲み込む、味わう等)
A 話す(発音、歌う、会話、コミュニケーション等) |
2.なんでも食べられる義歯を望まれる場合
入れ歯を動かないように固定するための歯がないが、高機能で外れる心配がなく、なんでも食べられる義歯を望まれる場合。
3.残っている歯の寿命を延ばすため
口腔機能が損なわれているだけでなく、残っている歯が少ないことによりそれぞれの歯にかかる力の負担が大きくなり、残っている歯の寿命を縮める可能性がある場合
1,2の場合はもちろんですが、3番の部分も我々が -Save your teeth- を専門医チームコンセプトとして掲げている、大切な部分になって参ります。
インプラントは科学的根拠が蓄積した世界中で認められている治療です。だからと言って万能でも永久に持つと断言できるわけでもありません(Berglundh et al., 2002)。ただし、適応症に用いるとこれほど患者さんに喜んで頂ける治療も少ないのではないでしょうか。
他のプランと利点、欠点、費用、期間など患者さんが気になる部分をすべてクリアにしてから、必要に応じてインプラントを使用致します。
私たちが使用するインプラントはスウェーデン、イエテボリ大学歯周病科が大いに研究、開発に関わっているスウェーデン製のアストラテックインプラントシステム(http://www.dentsplyimplants.us/Implant-systems/Discover-Astra-Tech-Implant-System/BioManagement-Complex)で、当院の厳密な器具滅菌態勢のもと安心安全な治療を受けていただくことができます。 |
1.カウンセリング
まず必要な資料をとり、診査・診断をいたします。その後個々の患者さんに応じて最適な治療法や費用などをご説明いたします。疑問点などがありましたら、遠慮なくお尋ねください。当院ではインプラント治療についてしっかりとご理解を頂いた後に治療に入ります。
2.インプラント埋入のための前処理
まず口全体の診断の後、虫歯、根っこの病気、歯周病などを先に治療していきます(場合により平行して進めていきます)。骨、歯ぐきが不足している場合はそれらの再生を先に行なうことがあります。
3.インプラント埋入
顎の骨にインプラントを埋入し、歯ぐきでカバーしてしまいます。その後数ヶ月の治癒期間をおき、インプラントと骨をしっかりと結合させます(オッセオインテグレーションといいます)。 | | |
4.2次手術
インプラントと骨が結合したら、歯ぐきを切開し人工の歯を取りつける部品(アバットメント)を連結する手術を行います。その後、歯ぐきの治りを待ちます(2〜4週間)。その間に歯型を採って仮歯をつくり、噛み合わせを調整します。(写真4) | | |
5.人工歯作製
歯ぐきがきれいに治ったら、実際に歯として機能する部分(人工歯)をつくります。型を採ってから1〜2週間ででき上がります。
6.装着
人工歯をインプラントに装着します。人工歯は仮止めができるセメントで装着するかネジ止めしますので、基本的に、なにか問題が起こった時には人工歯を外すことができます。(写真6) | | |
7.メインテナンス(定期健診)
インプラントは、天然歯と同様、口腔内を清潔に保たなければ長期間使用することはできません。しかし定期健診時のクリーニングと日々のブラッシングにより長期にわたって健康な状態が維持できます。そのためインプラントをなさった患者さんの定期検診は必須事項となります。 |
メリット | デメリット |
天然の歯に近い審美性と機能回復が可能 | 治療期間が長いことがある |
インプラントで噛むことにより、顎に適切な力がかかり、顎の骨が痩せていくことを防ぐことができる | 体の状態や骨の状態によりインプラント治療ができないことがある。 |
インプラントは骨の中で固定されているため、しっかりと噛むことができる | 保険適用外 |
周囲の歯を削らず、歯のない部位に固定性の人工歯をいれることができる | |
歯科医院での注意深いメインテナンスと患者さんのインプラント周囲のブラッシングが適切に行われれば基本的に長期間使用できる | |
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参考文献
Berglundh, T., Persson, L. & Klinge, B. (2002) A systematic review of the incidence of biological and technical complications in implant dentistry reported in prospective longitudinal studies of at least 5 years. J Clin Periodontol 29 Suppl 3, 197-212; discussion 232-193. doi:019 [pii]. |
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