インプラント治療


1. インプラントとは


インプラントは、失った歯の機能と審美性を回復するための最先端の歯科治療法です。この治療法では、チタンなどの生体親和性の高い材料でできた人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯冠を装着します。

歴史を紐解くと1952年、スウェーデンの整形外科医ペル・イングヴァール・ブローネマルク(Per-Ingvar Brånemark)が、チタンが骨と結合する特性を発見しました(この現象は「オッセオインテグレーション」と呼ばれます)1965年、ブローネマルクは最初のチタン製の歯科インプラントを患者に埋め込み、成功を収めました。この出来事が現代的な歯科インプラントの始まりとされています。

インプラント治療の主な利点は以下の通りです:
- 天然歯に近い機能と見た目を実現
- 隣接する健康な歯を傷つけずに治療可能
- 発音や咀嚼機能の改善
- 顔の形態維持と顎骨の吸収防止
- 長期的な耐久性


ただし、インプラント治療にはいくつかの条件があります。十分な骨量と骨質、良好な全身状態、適切な口腔衛生状態などが必要です。また、喫煙や糖尿病などの要因も治療の成功率に影響を与える可能性があります。


2. インプラントの構造


インプラントは主に3つの部分から構成されています:

1. インプラント体(人工歯根):
チタン製のスクリュー状の部品で、顎の骨に直接埋め込まれます。表面には特殊な加工が施されており、骨との結合(オッセオインテグレーション)を促進します。

2. アバットメント:
インプラント体と人工歯冠をつなぐ中間の部品です。インプラント体に直接ねじ込まれ、人工歯冠を支える台座の役割を果たします。

3. 上部構造(人工歯冠):
口腔内に見える部分で、天然歯の形状を模した人工の歯です。通常、セラミックなどの審美性の高い材料で作られます。

これらが一体となって機能することで、天然歯に近い強度と審美性を実現します。

インプラントの構造


3. 手術の手順


インプラント治療は通常、以下のような手順で行われます:

1. 診査と治療計画:
CT検査やレントゲン撮影を行い、骨の状態を確認します。全身の健康状態もチェックし、最適な治療計画を立てます。

矢印


2. インプラント体の埋入手術:
局所麻酔下で歯肉を切開し、顎の骨にインプラント体を埋め込みます。必要に応じて骨造成なども行います。

インプラント埋入



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3. 治癒期間:
インプラント体と骨が結合するのを待ちます。通常3ヶ月程度かかります。


矢印


4. 二次手術:
インプラント体の上部を露出させ、歯肉を整えます。しかし、埋入手術時に問題なければこの手術は行わない事もあります。

二次手術

矢印


5. 上部構造の製作と装着:
人工歯冠を製作し、アバットメントを介してインプラント体に装着します。

装着


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6. メインテナンス:
定期的な検診と専門的なクリーニングを行います。


4. 骨がない場合の対応


インプラント治療には十分な骨量が必要ですが、歯を失ってから時間が経過していたり、歯周病などで骨が失われていたりすると、骨量が不足していることがあります。このような場合、以下のような対応が考えられます。

1. 骨造成(ボーングラフト):
自家骨や人工骨を用いて、不足している部分の骨を増やします。

骨造成(ボーングラフト)



2. サイナスリフト:
上顎の奥歯部分で骨が足りない場合、上顎洞を持ち上げて骨を造成します。

サイナスリフト

サイナスリフト



3. 短いインプラントの使用:
骨量が少ない部位に適した、特殊な短いインプラントを使用する方法もあります。

短いインプラントの使用

短いインプラントの使用



4. オールオンフォー:
わずか4本のインプラントで上下顎全体の歯を支える方法で、骨量が少ない場合にも適用できることがあります。

オールオンフォー

オールオンフォー

オールオンフォー


これらの方法を用いることで、骨量が不足している場合でもインプラント治療が可能になることがあります。ただし、追加の処置が必要となるため、治療期間が長くなったり、コストが増加したりする可能性があります。

また、インプラントを行うことが決定している場合は、抜歯と同時に骨造成を行う、抜歯窩保存術(ソケットプリザベーション)を行うことで、大規模な造成を回避できます。

インプラント治療を決めているなら

インプラント治療を決めているなら



5. 治療期間


インプラント治療の期間は、患者さんの状態や治療内容によって大きく異なります。一般的な流れは以下の通りです:

1. 初診から治療計画の立案:1〜2週間
2. インプラント体の埋入手術:1〜2時間
3. 骨との結合期間(オッセオインテグレーション):3ヶ月
4. 二次手術(必要な場合):30分〜1時間
5. 上部構造の製作と装着:2〜4週間


したがって、標準的なケースでは、初診から治療完了まで約45ヶ月程度かかることが多いです。

ただし、骨造成などの追加処置が必要な場合は、さらに4〜6ヶ月程度治療期間が延びることがあります。また、抜歯が必要な場合は、抜歯後の治癒期間も考慮する必要があります。

一方、即時荷重インプラントと呼ばれる方法では、インプラント体の埋入と同時に仮の歯を装着することも可能です。ただし、この方法が適用できるのは限られたケースのみです。


6. 治療後のメンテナンスの重要性


インプラント治療後のメンテナンスは、長期的な成功のために極めて重要です。適切なケアを怠ると、インプラント周囲炎などの合併症のリスクが高まります。

効果的なメンテナンスには以下のポイントがあります:

1. 日々の丁寧なブラッシング:
インプラント周囲の清掃には特に注意を払い、専用の歯ブラシや歯間ブラシを使用します。

2. 定期的な専門的クリーニング:
3〜6ヶ月ごとに歯科医院で専門的なクリーニングを行います。

3. 定期検診:
年に1〜2回、レントゲン撮影を含む詳細な検査を行います。

4. 生活習慣の改善:
禁煙、バランスの取れた食事、ストレス管理など、全身の健康管理も重要です。

5. 異常の早期発見:
痛み、腫れ、出血などの症状があれば、すぐに連絡をお願いします。

適切なメンテナンスを行うことで、インプラントの寿命を大幅に延ばすことができます。多くの場合、適切にケアされたインプラントは10年以上、場合によっては生涯にわたって機能し続けることができます。

治療後のメンテナンスの重要性


7. インプラント周囲疾患とは


インプラント周囲疾患とは


インプラント周囲疾患は、インプラント治療後に起こりうる合併症の一つです。
主に以下の2つのタイプがあります:


1. インプラント周囲粘膜炎:
インプラント周囲の軟組織(歯肉)に限局した炎症です。早期に適切な治療を行えば可逆的で、完治が可能です。

2. インプラント周囲炎:
炎症が進行し、インプラントを支える骨にまで及んだ状態です。進行すると、インプラントの脱落につながる可能性があります。

主な症状には以下のようなものがあります:
- インプラント周囲の発赤や腫れ
- 出血
- 排膿
- 口臭
- インプラントの動揺

インプラント周囲疾患とは


インプラント周囲疾患とは

インプラント周囲疾患の主な原因は、プラーク(細菌の膜)の蓄積です。その他、喫煙、糖尿病、過度の咬合力などもリスクファクターとなります。

予防には、前述のメンテナンスが極めて重要です。万が一、症状が現れた場合は、早期に歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが重要です。治療法としては、プロフェッショナルクリーニング、抗菌療法、外科的治療などがあり、症状の程度に応じて選択されます。

インプラント周囲疾患は、適切な予防と早期発見・早期治療により、多くの場合、管理可能です。定期的なメンテナンスと自己管理の徹底が、長期的なインプラントの成功につながります。

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